2022.01.05
オフショア開発における人月単価はどれくらい?国ごとに比較!
オフショア開発は、開発費用に充てる単価を削減できる点が最大のメリットです。また開発業務を海外のエンジニアに発注するオフショア開発は、日本人と比較した際に人月単価が安いことが前提にあります。
本記事ではオフショア開発で人気の開発国の人月単価を比較し、特に人気のベトナムの特徴をご紹介していきます。
- 人月単価とは、1人あたりの作業量に対する単価
- ベトナムの人月単価は上昇傾向だが、総合的に安価な水準を維持している
- 各国で単価が上昇している中、ベトナムはPMやブリッジSEの職種でコストメリットが大きい
- 円滑なオフショア開発には、PMやブリッジSEがアサインしやすいベトナムがおすすめ
人月単価とは
人月(にんげつ)とは1人あたりの作業量を表す単位であり、人月単価とは1人月あたりの費用を指す用語です。人月単価は開発会社ごとに独自の単価テーブルを持っており、エンジニアの経験や技術力に比例して単価が高くなります。
例えば、経験豊富なエンジニアAさん1人が3ヶ月間かけて開発する案件の場合、Aさんの人月単価が100万円であれば、開発の見積もりは「単価100万円×3ヶ月」で300万円となります。
ベトナムの人月単価
オフショア開発最大のメリットはコストカットであり、なかでもベトナムはコストカットのメリットが大きい人気の委託国です。ここではベトナムの平均人月単価を踏まえ、日本とベトナムの人月単価比較、単価が上昇している背景についてご紹介していきます。
ベトナムの平均人月単価
下記の表は、2021年のベトナムエンジニアの平均人月単価です。
プログラマー | 36.58万円(昨年度比+24.6%) |
シニアエンジニア | 42.93万円(昨年度比+16.8%) |
ブリッジエンジニア | 48.64万円(昨年度比+10.4%) |
プログラマー・シニアエンジニア・ブリッジエンジニアの全てのカテゴリーで、昨年度比で上昇しています。そのためコストメリットが大きいとされるベトナムでも、人月単価が徐々に上昇傾向にあります。
もちろん単価だけでみるとベトナムよりも、平均人月単価が低い国も存在します。また人月単価はあくまで1つの基準であり、案件内容や規模によってコストは大きく変わるのも事実です。
そうした中でも、総合的にみるとベトナムの単価は平均的に安価な水準を維持しています。また技術力の高さやコミュニケーション能力、親日国など、一般的なベトナム人の特性を踏まえて人気の委託先です。
日本とベトナムの人月単価の比較
総合的にみて人月単価が低いベトナムですが、ここでは日本のエンジニアの人月単価と比較していきます。特に日本のエンジニアの人月単価は年々上昇しており、一般的にWeb系で60〜80万円程度、スマホアプリ系で100万円程度といわれています。
また人工知能(AI)やブロックチェーン系の開発では、さらに高価格となりシニアエンジニアでは150〜200万円の人月単価となるケースも珍しくありません。
日本のエンジニアの人月単価もベトナムと同じく、案件内容や規模によってさまざまですが、一般的にはベトナムの2倍以上が相場です。つまりベトナムに発注することで、約2倍のコストメリットが得られます。
ベトナムの人月単価が上昇している背景
ベトナムをはじめ各国でオフショア開発の人月単価が上昇傾向にあります。その背景には、各国の経済成長が関係しており、経済成長に伴い自国での開発単価が上昇します。その結果、日本でも安く開発を請け負うのが難しくなり人月単価も上昇します。
特に技術力が高く経済発展も急速に進む中国やインドの人月単価は、オフショア開発のメリットが享受しにくい状況になりつつあります。とはいえ案件規模によってはベトナムで80人月かかる開発も、中国に依頼すれば40人月で開発できるなど工数に大きく差が出るケースもあります。
つまり案件によっては、人月単価が高くとも安定した人材量と技術力の高さを確保できる国に依頼した方が、トータル的に安くなるケースもあります。
ベトナム以外の人月単価
下記はベトナム以外の国の、平均人月単価です。
国 | 平均人月単価 |
中国 | 30〜50万円 |
インド | 30〜45万円 |
インドネシア | 30万円前後 |
フィリピン | 15〜30万円 |
タイ | 35万円前後 |
ミャンマー | 10〜20万円 |
オフショア開発が登場し始めた頃は、中国やインドが主流の委託先でした。しかし近年は急激な経済成長により、中国やインドの人月単価が高騰しています。なかでも中国エンジニアの人月単価は著しく上昇しており、ブリッジエンジニアは2021年の昨年比で50%以上も単価アップしています。
その影響もあり近年注目を集めているのが、タイやインドネシア、フィリピンなどの新興国です。新興国は中国やインドよりも圧倒的にコストが抑えられ、オフショア開発のメリットが最大限に発揮されます。
職種ごとの人月単価と比較
ここではベトナムをはじめ、各国の職種ごとに人月単価をみていきます。下記は2021年の、職種別人月単価です。※カッコ内は昨対比の人月単価
国 | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
ベトナム | 36.58万円 (+24.6%) | 42.93万円 (+16.8%) | 48.64万円 (+10.4%) | 62.61万円 (-1.6%) |
中国 | 41.60万円 (+17.9%) | 51.54万円 (+20.5%) | 73.52万円 (+51.7%) | 90.42万円 (+24.4%) |
インド | 33.36万円 (-11.2%) | 47.86万円 (+7.1%) | 54.92万円 (+10.9%) | 77.07万円 (-6.7%) |
フィリピン | 33.93万円 (+14.7%) | 47.86万円 (+25.2%) | 66.68万円 (+21.1%) | 73.96万円 (+2.0%) |
ミャンマー | 27.27万円 (+1.9%) | 37.31万円 (-1.5%) | 41.15万円 (-15.6%) | 64.15万円 (-15.8%) |
バングラデシュ | 23.69万円 (-6.2%) | 28.31万円 (-19.4%) | 58.94万円 (+46.1%) | 64.56万円 (+16.5%) |
職種別にみても全体的に人月単価は上昇傾向にありますが、中には昨対比マイナスで人月単価が下がっている国・職種もみられます。その要因として、該当の職種の人材が増えていることが挙げられます。
ベトナムは新興国の中では上昇幅が大きい国ですが、それでも人月単価は中国・インドよりは抑えられています。中国の高騰は著しく、反対にミャンマーは人口の増加と人材育成が進んでいることから、全体的に人月単価が下降しています。
また職種別にみると、なかでも一般的に英語を得意とするバングラデシュやフィリピンはブリッジSEの上昇幅が全体的に大きいのが特徴です。
職種ごとの人月単価にみるベトナムの特徴
技術力はもちろん比較的コミュニケーション能力が高く人気のベトナムは、ブリッジSEやPMの職種で高いコストメリットを出せることがわかります。なかでも全体的に人月単価が高く上昇幅も大きいPMにおいて、ベトナムは昨対比で下降していることに加え、人月単価も上記6カ国の中では最安値です。
その要因として、プロジェクトマネジメントができる人材が育成され人材が増加していることが考えられます。実際にベトナムはPMやブリッジSEといった職種が、フィリピンやバングラデシュといった国以上に豊富な人材を確保できています。
ブリッジSEやPMをつけたいならベトナムがおすすめ
ブリッジSEは、日本企業と海外エンジニアの架け橋として進捗管理などを担当し、PMはプロジェクトの管理・指揮を担当するポジションです。日本人がPMを担当し、委託先の日本語に堪能な人材がブリッジSEを担当するのが、オフショア開発での一般的なパターンです。
日本人PMの単価相場は60〜80万円前後に対し、日本語ができるベトナム人ブリッジSEの単価相場は30〜50万円ほどです。PMかブリッジSEどちらかをアサインするにしても日本の人月単価は高いのが実情です。
そのため日本語ができる海外のブリッジSEをアサインした方がコストメリットがあります。もちろん小規模案件であれば、日本人1人を雇った方が安く抑えられるケースもあります。また中規模以上のプロジェクトであれば、海外にPMやブリッジSEも委託する方が安く抑えられるなどケースバイケースです。
そしてオフショア開発の主要委託国の中で、PMやブリッジSEのコストメリットが大きいのはベトナムです。そのため円滑なオフショア開発には、ベトナムへの委託がおすすめです。
PMもブリッジSEもオフショア開発には欠かせない重要なポジションであり、コストを抑えながらもPMやブリッジSEをアサインしたい場合には、ベトナムへの委託が高いコストメリットを期待できます。
まとめ
オフショア開発の依頼先を決める際は、人月単価の安さだけで判断するのではなく、単価以外の特徴を把握した上で決定することがポイントです。ベトナムは単価が安いだけでなく、オフショア開発の経験・実績も豊富で、技術力の高さにも定評があります。
FLINTERSでは、東京の他にベトナムにもオフショア開発拠点を有しており、データ取得などバックエンドの開発を数多く経験してきました。また、PMやブリッジSEも多数在籍しており、お客様のご要望に合わせて開発体制を柔軟に提供できます。
ラボ型オフショア開発についてご依頼、ご質問などございましたら、ぜひ一度FLINTERSにご相談ください。
執筆者
中川路 寛
KAN NAKAKAWAJI
セールス&マーケチーム所属。 オフショア開発事業のセールスとブログ執筆などのマーケ施策を担当。