2022.01.05

オフショア開発の失敗するケースと注意点

エンジニアが不足が叫ばれる現在、いかに海外を含めた開発リソースを確保するかが、多くの企業でテーマとなっています。そこで注目されているオフショア開発ですが、オフショア開発で失敗を経験している企業も少なくありません。

開発リソースを確保しプロジェクトを成功に導くためには、オフショア開発で失敗するケースとリスク・注意点を把握しておくことが重要です。今記事を参考に、オフショア開発の失敗するケースとリスク・注意点を把握し、開発成功に役立ててください。

この記事のポイント!
  • オフショア開発はコストメリットが得られる
  • 言語や文化の違いがある中で開発を進めるオフショア開発は、失敗事例も多々ある
  • オフショア開発の失敗事例は、コミュニケーション不足が大きく関係している
  • 意思疎通や要件仕様、人月単価の明確化がオフショア開発の失敗やリスクを軽減する

オフショア開発とは

オフショア開発とは、人件費の安い海外に開発業務を委託する開発方法です。委託先として主流なのが中国やインドですが、近年はベトナムやフィリピン、タイなどの新興国も台頭しています。また中国やインドは経済成長に伴い人件費が高騰しつつありますが、ベトナムやフィリピンなどの東南アジア諸国は高いコストメリットに期待できます。

オフショア開発のメリット・デメリット

日本人エンジニアに引けを取らない技術力を持つエンジニアを安く、中長期的に確保できるのがオフショア開発のメリットです。一方で言語の壁や文化の違い、物理的距離によるコミュニケーションコストはオフショア開発のデメリットとなります。

デメリットはあるもののコスト面や安定した人材・品質確保ができるため、オフショア開発は総じて多くの企業にメリットがあります。このあと説明するリスクをしっかりとケアをすることで最大限メリットを享受することができます。

オフショア開発が必要とされる背景と課題

ITの活用やDXの対応が求められる中で、多くの企業でエンジニアをはじめとしたIT人材が不足しています。そこでいかに海外を含めた開発リソースを確保するかが鍵となっています。しかしその中で、以下のような問題に直面する企業が多く存在します。

  • 開発業務を担当するIT エンジニアが不足
  • 人材を充実させたいが、採用がうまくいかない
  • すぐに開発業務を発注できる外注先が見つからない
  • 国内の人材コストが高騰し、思うように開発が進められない

上記のような課題を解決できるのが、海外へ比較的安いコストで発注できるオフショア開発です。しかしすでにオフショア開発を経験している企業でも、以下のような課題を抱えているケースもあります。

  • 外注先のブリッジエンジニアと適切なコミュニケーションが取れない
  • ウォーターフォール型で開発の融通が利かない
  • 想定していたコストダウンが実現できていない

オフショア開発でよくあるリスクと失敗するケース

オフショア開発はメリットの大きい開発手法ですが、上記のようにオフショア開発で失敗を経験している企業や課題を抱える企業も少なくありません。そこでコストメリットを享受しオフショア開発で成功を収めるためにも、失敗するケースとリスク・注意点を把握しておくことが重要です。ここでは、オフショア開発でよくあるリスクと失敗するケースをご紹介します。

コミュニケーションがうまくいかない

開発を進める上では日本人同士でもコミュニケーションが難しいケースがあるため、言語の壁や文化の違いがある中でのオフショア開発ではより失敗のリスクが高くなります。

実際に日本人同士では概要だけで理解してもらえる内容でも、オフショア開発では細かい部分まで明確に指示する必要があります。結果的に要望とは全く違った成果物ができてしまうケースも少なくありません。

また要件定義や仕様書などの上流工程が、コミュニケーション不足から不明瞭になってしまい失敗してしまうケースも往々にしてあります。さらに日本語能力が優れていると聞いてアサインしたブリッジSEが、現場レベルでは日本語に堪能ではなく、結果的にリスクを抱えたまま開発を進めざるを得ないケースもあります。

品質が悪く、納期や要望を満たせていない

プロジェクト管理がうまくいかず納期通りに納品されない、開発工程の認識のズレや仕様の変更から納期に遅れてしまうケースは頻繁に発生します。また海外は日本よりも納期やスケジュールの意識が緩いのが実情です。

そのため進捗管理をせず業務を丸投げしていると、大幅にスケジュールが遅れているケースや納期に間に合わないといったケースも挙げられます。そしてコミュニケーション不足から要望を満たした成果物が納品されない、要望は満たしているが品質に問題があるといった失敗もよくあるケースです。

想定していたほどのコストダウンができていない

オフショア開発の依頼先になることの多い新興国は、発展途上で高い成長性を秘めた国々です。そのため現在の経済水準は低いものの、急激に経済が発展して突如として人件費が上昇する可能性があります。

それだけでなく円安などの急な為替の変動も関係します。人件費カットを最大の目的に依頼していた場合、急な人件費高騰でかえってコストがかさんでしまうリスクもあります。また案件の内容や規模によっては、想定した人件費がカットできず、コストダウンが実現しないといった失敗もよくある事例です

オフショア開発を失敗させないための注意点

ここでは、オフショア開発を失敗させないための注意点をお伝えします。オフショア開発は言語の違いや文化の壁、物理的距離があることから、国内で行っている開発と同じ要領で進むとは限りません。失敗事例を踏まえ、失敗しないためにはどの点に注意すべきかを押さえましょう。

コミュニケーションを工夫する

当たり前のようで難しいのが「わかりやすい日本語」で伝えることです。たとえ日本語に堪能なブリッジSEやPMが担当だとしても、わかりやすい日本語で伝えることを意識し続けることが重要です。

特に日本人は、お互いの意図を察し合うことでコミュニケーションを完結させる「ハイコンテクスト」文化が特徴です。感覚でのコミュニケーションは、もちろんのこと言語や文化の壁がある海外の人とのコミュニケーションでは通用しません。

そのため一言一句、簡単な言葉かつ直接的な表現でコミュニケーションを取ることを意識することが大切です。またテキストで記録したり、ビデオMTGを実施したり、1回1回のコミュニケーションに不安を残さないことがポイントです

そしてコミュニケーション頻度を上げることを意識することも重要です。テキストのみで完結する連絡でも、時には雑談のような軽いコミュニケーションを交えてモチベーションを高めることも工夫の1つです。

専任のPMをアサインする

プロジェクトの進行管理・指揮を担当するPMは、円滑な開発に欠かせない存在です。小規模な開発であればPMをアサインしなくとも管理・指揮が取れるケースもあります。しかし中規模以上の開発になると人員も作業量も増え、コミュニケーションの必要性も増します。

実際に片手間でPMを兼務している状態では、開発管理が遅延し、必要な指示がうまく伝達せず思った通りに開発が進まないリスクがあります。効率的かつ円滑に開発を進めるためには、意思決定が迅速に実施できる環境と専任で管理・指揮が取れるPMのアサインがポイントです

要件仕様を明確にする

コミュニケーションと同じく重要なのが、要件仕様を明確にすることです。国内の開発では要件の詰めの甘さや不明瞭な部分は、その場で比較的すぐに改善できます。しかしオフショア開発の場合はすぐに改善できず、そのままプロジェクトが進行してしまうこともあります。

そして結果的に要望と違うものが完成してしまい、後々トラブルになるケースも少なくありません。そのため要件仕様は、国内開発の時よりも詳細に提示することが重要です

企業の実績を確認する

安さ優先で委託先を選んでしまうのは、失敗の一因です。オフショア開発の委託企業は、スキルや日本語理解力、得意とする開発内容など特徴が異なります。

特にコストメリットだけに着目し、スキルを確認しないまま企業を選定しては、かえってコストがかさんでしまうリスクもあります。そのため実際に過去の成果物を提出してもらう、どの工程をどの期間で担当したかなど、細かい部分まで実績を確認しましょう

人月単価相場を把握する

下記は2021年の平均人月単価です。国や職種によって、人月単価は以下のようにさまざまです。※カッコ内は昨対比の単価変動

 プログラマーシニアエンジニアブリッジSEPM
ベトナム36.58万円
(+24.6%)
42.93万円
(+16.8%)
48.64万円
(+10.4%)
62.61万円
(-1.6%)
中国41.60万円
(+17.9%)
51.54万円
(+20.5%)
73.52万円
(+51.7%)
90.42万円
(+24.4%)
インド33.36万円
(-11.2%)
47.86万円
(+7.1%)
54.92万円
(+10.9%)
77.07万円
(-6.7%)
フィリピン33.93万円
(+14.7%)
47.86万円
(+25.2%)
66.68万円
(+21.1%)
73.96万円
(+2.0%)
ミャンマー27.27万円
(+1.9%)
37.31万円
(-1.5%)
41.15万円
(-15.6%)
64.15万円
(-15.8%)
バングラデシュ23.69万円
(-6.2%)
28.31万円
(-19.4%)
58.94万円
(+46.1%)
64.56万円
(+16.5%)
参考:オフショア開発.com「オフショア開発の人月単価相場は?」

近年経済成長が進む国が増え、人月単価は全体的に上昇傾向にあります。しかしベトナムのPMやミャンマーのブリッジSE、バングラデシュのシニアエンジニアのように昨対比で単価が下がっている職種もあります。単価下降は人材育成が進み、リソースが拡大していることが大きな要因です。

一方オフショア開発は、案件内容や規模によって開発コストが大きく異なるため、人月単価が安い国に委託するからと必ずしもコストダウンするとは限りません。たとえば単価が高騰している中国やインドに委託したとしても、大型案件であればトータル的に安く抑えられるケースもあります。そのため人月単価の相場を押さえた上で、案件内容や規模に応じて委託先を見極めることもポイントです

まとめ

オフショア開発の失敗はコミュニケーション不足や要件仕様の曖昧さ、コスト理解の不十分さが起因しています。なかでもコミュニケーション面は失敗の大きな要因となるものです。しかしこの点を徹底して対策すれば、失敗せずにコストメリットを得ながら、オフショア開発が進められます。

またオフショア開発を進める際には、上記でご紹介した以下の点を注意してみてください。

  • コミュニケーションを工夫する
  • 専任のPMをアサインする
  • 要件仕様を明確にする
  • 企業の実績を確認する

上記ポイントを徹底し、加えて要件仕様の明確化や企業実績の確認、人月単価の把握を怠らなければ、オフショア開発の成功に期待できます。今後IT需要の増加に反し人材が不足する中で、ビジネス拡大・繁栄を実現するにはオフショア開発が大きな鍵です。失敗事例や注意点を押さえ、オフショア開発を成功させましょう。

FLINTERSでは、東京の他にベトナムにもオフショア開発拠点を有しており、データ取得などバックエンドの開発を数多く経験してきました。また、日本語でのコミュニケーションにも慣れており、一緒に議論することも可能です。不明点を明確にすることで失敗のリスクを抑え、円滑に開発を進めることができます。

ラボ型オフショア開発についてご依頼、ご質問などございましたら、ぜひ一度FLINTERSにご相談ください。


執筆者

中川路 寛
KAN NAKAKAWAJI

セールス&マーケチーム所属。 オフショア開発事業のセールスとブログ執筆などのマーケ施策を担当。

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