2021.12.01
オフショア開発でベトナムが人気の理由とは?
エンジニア人材の不足が課題であり、今後その状況が深刻になりつつある日本では、海外に開発業務を委託するオフショア開発が広がりをみせています。オフショア開発の委託先として選ばれる国は複数ありますが、なかでもベトナムの人気が急上昇している傾向にあります。オフショア開発のメリットを享受するには、委託先の選定が重要なポイントです。今回はオフショア開発で人気が高まるベトナムについて、その理由を詳しくみていきます。オフショア開発の委託先に迷っている、ベトナムへの委託を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- オフショア開発とは、人件費や事業コストの低い海外に開発を委託すること
- オフショア開発の主な委託先は中国、インド、ベトナム、フィリピン
- ベトナムはコストや高い技術力、親日国であるなど多方面で好条件な委託先
- 日本におけるオフショア開発案件の約7割はベトナムが選ばれている
オフショア開発とは
オフショア開発とは、人件費や事業コストの低い海外に開発業務を委託することです。開発内容はソフトウェアやWebシステム、アプリケーションなどで、委託先は主に中国や東南アジア諸国が中心です。
今後ソフトウェアやWebシステム、アプリケーションをはじめとするIT需要が高まるといわれる中、国内ではIT人材が不足しているのが実情です。実際に2030年には約79万人もの人材が不足するといわれています。
また日本では人材数の面で確保が難しいことから、優秀な人材を国内で確保する際に人件費も高騰する傾向にあります。そのためエンジニア人材を低コストで確保できるオフショア開発は、多くの企業で活用が進んでいます。
さらにオフショア開発のメリットは、単に低コストで開発業務を委託できるだけではありません。国内の人材と遜色ない、むしろ国内よりも優秀な人材を確保できるメリットも挙げられます。
オフショア開発で人気の国
オフショア開発の主な委託先として人気の国は、ベトナムを含む以下の4ヶ国です。ここでは、ベトナムとはじめとする各国がオフショア開発に人気の理由や各国の特徴についてご紹介していきます。
中国
中国は世界最大の人口数を誇る国であることからも、規模的にエンジニアが確保しやすいだけでなく、優秀な人材が多い点が特徴です。その高い技術力から、情報システムや基幹系システムなど高度な技術、長期間を要する大規模案件の委託先に向いています。
さらに中国には日本語に堪能な人材も多いため、コミュニケーションが取りやすい点でも人気です。しかしオフショア開発が主流になった現在、中国人材の人件費が高騰しつつあります。そのため小規模な案件や中小企業では、中国に手軽に委託するのは難しくなっているのが現状です。
インド
インドも中国に並ぶ人口数を誇ることから、規模的に優秀なエンジニア人材が確保しやすい人気の委託国です。高い技術力を持つエンジニアが多いため、大規模かつ高度な技術を要する案件の委託先として選ばれています。
さらに英語圏であることからコミュニケーションが取りやすく、オフショア経験も多いことからスムーズな開発に期待できます。しかし中国と同様に急激な経済成長を遂げていることから、人件費が高騰しつつあります。
ベトナム
ベトナムは日本でもっとも人気のオフショア開発の委託先であり、高い技術力を誇る国でもあります。また勤勉な国民性、そして親日国であることからも日本語を学習する人が多い点が特徴です。
そのためコミュニケーションの面でも良好な関係が築きやすく、さらに中国やインドよりも低コストで人材が確保できるため人気が高まっています。
フィリピン
フィリピンもベトナムと同じく親日国であり、かつ英語圏であることからメジャーな委託国です。また時差が1時間であるため、オンラインでのコミュニケーションも取りやすいメリットもあります。ただしフィリピンはデザイナーが多く、前述した国と比べると委託できる開発のジャンルが多少異なります。そのためフィリピンでのオフショア開発は、デザインを重視する際に活用されるケースが多い傾向にあります。
ベトナムが最も人気の理由
上記の4カ国を見てもオフショア開発の委託先として選ばれる国は、それぞれ特徴や強みもさまざまです。なかでも総合的にみて人気の高い国がベトナムであり、多くの企業からオフショア開発の委託先として選ばれています。ここではベトナムが人気の理由について詳しくみていきます。
人件費が安い
オフショア開発の最大のメリットかつ目的となるのが、人件費を抑えることによる開発コストの削減です。人材も確保しやすく高い技術力を誇る、中国やインドの人件費が高騰しつつある中、ベトナムは遜色ない技術力のエンジニアを低コストで確保できます。実際にベトナムでオフショア開発した際の人件費は、日本人エンジニアの3分の1ほど。人件費が安いからと技術力に問題があるわけではなく、ベトナムでのオフショア開発は純粋にコストメリットが得られます。
エンジニアが優秀
ベトナムには単に人材確保だけではなく、ハイスキルなエンジニアが多いことから優秀な人材が確保しやすい点が大きなメリットです。さらにベトナムでは政府がICT教育を推進していることからも、今後さらに優秀な人材の輩出が期待されます。そうした将来性も人気の理由です。
また近年ベトナムの理系大学では、オフショア開発の需要増加を見込んで日本語教育にも力を入れており、日本語能力が高いエンジニアが多いです。実際にオフショア開発の際にネックになるのが語学力の問題です。その点、ベトナムでは開発における技術力に加え、日本語理解力の高さからコミュニケーションが取りやすい点も魅力。そのためオフショア開発のネックである語学力を、ベトナムはカバーできるのもポイントです。
人材が豊富
ベトナムでは上記のようにICT教育の推進により、オフショア開発で欠かせないプログラミング技術が学べる教育機関が整備されている点で豊富な人材に期待できます。比較的幼少期からプログラミング技術に触れていることから、就活段階の学生であっても即戦力に相応しい技術レベルを備えているケースも珍しくありません。
さらに少子高齢化の進む日本とは反対に、国全体の平均年齢が31歳と若いのがベトナムの特徴です。そのため現在はもちろん、将来的にも優秀なIT人材が多く輩出されると期待されています。
日本と距離が近い(親日国)
ベトナムと日本は物理的に距離が近く、時差は2時間ほどしかありません。オンラインでやりとりすることの多いオフショア開発では、時差が少ないほどスムーズなやりとりがしやすい点でメリットがあります。お互い勤務時間中にやりとりができるため、ストレスなく業務が遂行できるでしょう。またベトナム人には親日家も多く、勤勉で真面目な国民性が日本と似ていることから、良好な人間関係が築きやすい点が嬉しいポイントです。オフショア開発を成功させる上で良好な人間関係を構築できるかは重要なポイントであるため、ベトナムとのオフショア開発は成功しやすいといえるでしょう。
ベトナムでのオフショア開発を失敗しないための注意点
メリットの多いベトナムでのオフショア開発ですが、なかには失敗事例が存在するのも事実。ここではベトナムでのオフショア開発を失敗しないための注意点をご紹介します。
発注準備を徹底する
オフショア開発の目的は、ソフトウェアやWebシステム、アプリケーションなどの開発を人件費や事業コストを削減することです。
そのためプロジェクトの目的・目標の共有、要件・仕様の理解を深める時間の確保、委託メンバーとの関係構築などの発注準備を徹底することが大切です。そうすることで発注後の失敗を最低限に抑えることが可能です。
特に初めてのオフショア開発で発注準備が不十分では、親日国で日本語が比較的堪能なベトナムとはいえ、その後の開発にも悪影響です。実際に国・文化・言語が違う中で協働して開発を成功させるには、丁寧で綿密な準備が失敗しないためのポイントです。
コミュニケーションを怠らない
オフショア開発は物理的距離がある中でプロジェクトを進めていくことから、円滑に開発を進めていくためにコミュニケーションが欠かせません。特にプロジェクト前や開始直後は定期的に打ち合わせが必要です。実際にタスク管理や開発フローなどを両者間で共有できるようにする工夫しましょう。口頭でのコミュニケーションはもちろん、会話内容が形で残るようテキスト化することも重要です。
人件費の安さだけで発注先を選ばない
オフショア開発の魅力は人件費の安さですが、人件費の安さだけを重視し、ベトナムだからと発注先を選ばないようにしましょう。一括りにベトナムとはいっても、オフショア開発では、発注先ごとに特性や強みも異なります。そのため複数の発注先を比較・検討し、自社のプロジェクトに合った発注先を選ぶのが重要です。
まとめ
ベトナムはオフショア開発において、技術力の高いエンジニアを低コストで確保できるため、コストメリットが大きな委託先です。また親日国であり日本語理解力も高いことから良好な人間関係を築いてオフショア開発に臨める点で人気の委託国です。
FLINTERSでは、東京の他にベトナムにもオフショア開発拠点を有しており、データ取得などバックエンドの開発を数多く経験してきました。また、コミュニケーションチームの80%超がN2以上を取得しており、コミュニケーションにおける心配も必要ありません。
ラボ型オフショア開発についてご依頼、ご質問などございましたら、ぜひ一度FLINTERSにご相談ください。
執筆者
中川路 寛
KAN NAKAKAWAJI
セールス&マーケチーム所属。 オフショア開発事業のセールスとブログ執筆などのマーケ施策を担当。