2022.03.01

【知っておきたい】Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)とは?

Facebook広告をはじめとして、SNS広告に関連する業務にあたる方であれば、近年サードパーティCookieの規制について注目が集まっていることはご存知でしょう。そしてFacebook広告を実際に運用する方であれば、コンバージョンAPI(CAPI)や今後のCookieの規制について気になっている方も多いと思います。Cookie規制は、今後さらに強化されていくことが見込まれているため、Facebook広告の運用を継続するのであればコンバージョンAPIについて理解しておくことが重要です。今回はFacebook広告のコンバージョンAPIの概要の説明から導入しない場合の弊害、導入方法まで解説していきます。

この記事のポイント!
  • Facebook広告のコンバージョンAPIとは、Cookie規制の影響を受けない計測方法
  • 個人情報保護の観点からCookie規制が進む中、コンバージョンAPIを導入しないと広告の費用対効果や機械学習に影響を及ぼす
  • コンバージョンAPIの導入には3つの方法がある
  • 導入にはコストと手間がかかるが、今後もFacebook広告を運用するには早い段階でコンバージョンAPIを導入することが必要

Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)とは?

Facebook広告のコンバージョンAPIについて理解する上で、重要なのがCookie規制についてです。そもそもCookieとは、訪問したWebサイト情報がスマホやパソコン内のブラウザに保存されることを指します。

またCookieにより収集された情報が個人情報保護の観点から問題視されており、Cookieに関する規制を設けて個人情報の侵害を守ることをCookie規制といいます。そこで2021年10月に提供を開始した、Cookie規制の影響を受けないFacebook独自の計測方法が「Facebook コンバージョンAPI」です。まずはFacebook広告における、コンバージョンAPIが注目されている背景や、導入しない場合の弊害についてお伝えしていきます。

なぜFacebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)が注目されているのか?

そもそもWeb広告には、Cookieによって第三者が取得したユーザーの興味関心や行動履歴、属性を活用する仕組みがあります。これはサードパーティCookieを利用して収集したユーザー情報を元に、パーソナライズされた広告を配信する手法です。

配信側にとってはターゲットと親和性の高い広告を配信できるため、高い広告効果を得られるメリットがあります。その一方でユーザーからは「知らない間に情報を抜き取られている」「いつも同じ広告が表示されて不快」など、個人情報やプライバシーに関するネガティブな意見が散見されているのも事実です。

このような背景からユーザーの個人情報やプライバシーを守ることを目的に、Cookieの利用を制限する動きが世界的に拡大しつつあります。その結果、Cookieの利用が制限されると広告配信のみならず、従来の広告計測・効果測定ができなくなってしまいます。

そこでFacebook社が開発したのが、Cookieに依存せず広告の効果測定ができるコンバージョンAPIです。コンバージョンAPIは、広告主のサーバーから直接Facebook社の広告サーバーにデータを送信できる仕組みです。そのためCookie規制の影響を受けずに、広告が計測・配信ができるとあって、Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)が注目を集めています。

Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)を導入しないとどうなるのか?

現在AppleのSafariをはじめとして、あらゆるブラウザでCookie規制が強化されつつあります。その中でコンバージョンAPIを導入せずに運用し続けることで、コンバージョンの計測漏れが発生、拡大するリスクが高まります。またコンバージョンの計測漏れが発生することで、主に以下2つの弊害が生じます。

広告の成果がわからなくなる

広告の成果を判断するにあたり、直接的な判断基準となるのはコンバージョンです。コンバージョンは最終目標となるラストコンバージョンだけでなく、広告を通じて成果が発生しているアシストコンバージョンも重要な指標です。

これらのコンバージョンを分析することで、配信中の広告に今以上に広告費用をかけるべきなのか、反対に広告をストップすべきかを判断します。しかしそもそもコンバージョンの計測漏れがあると、成果が正しく分析できず、広告運用自体が有効なのか否かが判断できなくなります

さらに広告運用はいかに費用を抑えてコンバージョンを獲得するかが重要。そのためそもそものデータがわからないことには、適当な直感に頼らざるを得なくなってしまいます。その結果、費用対効果を上げるための広告施策も実行できなくなってしまいます。

機械学習の精度が低下

コンバージョンの計測漏れは、自動入札のような機械学習機能にも影響を及ぼします。なぜなら自動入札のような機械学習機能は、広告アカウント内のコンバージョンシグナルを元に目標に近づくための学習するためです。

機械学習するにあたって必要なコンバージョンデータが不十分だと、そもそも自動入札の精度が低下します。それに加え、本来コンバージョンしているパターンも学習できなくなってしまいます。その結果として、機械学習の精度が下がり効率的な広告運用だけでなく、費用対効果の低下も招く恐れがあります

Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)の導入方法は?

上記で挙げたようにFacebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)を導入しない場合は、大きな弊害があります。特に昨今の企業活動では、Web広告経由で売上を立てているケースも多く、そうした場合には早期の対応が必要です。そこで実際にコンバージョンAPIの導入する方法としては、主に以下3つがあります。

①自社でFacebookにデータを送信する仕組みを直接実装する

コンバージョンAPIは、自社のサーバーから直接Facebook広告のサーバーにデータを送信する仕組みです。この仕組みを新規に自社で構築することで、コンバージョンAPIが使えるようになります。

自社での開発は下記2つの導入方法を比べると、コストと工数がかかる点がデメリットです。しかしオフラインのコンバージョンも計測指標にできるなど、他の導入方法にはないメリットもありますので、自社の広告運用における方向性や目的と照らし合わせて進めましょう。

②コンバージョンAPIゲートウェイを利用する

①の方法では自社のサーバーがAPIを利用できるよう新規に構築しますが、コンバージョンAPIゲートウェイを利用する方法では、開発せずにコンバージョンAPIが導入できるAWSサーバーを使用します。

AWSサーバーは事前に広告主側で契約し、費用も広告主が負担します。しかし開発せずともコンバージョンAPIが導入できるため、開発リソースやIT知識がなくとも、最小限のリソースで導入することが可能です。

ただし開発に伴うリソースはほぼ不要ですが、サーバーサイドエンジニアリングの知識がある程度ないと導入が進めにくいため、難易度が低いわけではありません。

③Google タグマネージャーのサーバー用コンテナを利用する

Googleタグマネージャーのサーバ用コンテナとGoogleアナリティクス4を利用することで、開発する必要なくコンバージョンAPIの導入が可能です。②の方法でコンバージョンAPIが利用できるようにするためにAWSサーバーを使用するのと同様に、こちらの方法ではGCPのサーバーが必要です。

しかし②の方法と違い、Facebook広告以外の広告プラットフォーム(LINE広告など)にも転用できる可能性があります。Google広告は既にこの方法によりCookie規制の対策をしており、比較的手軽に利用できます。そのためFacebook広告以外の媒体でも計測補完したい場合におすすめの方法です。

ファーストパーティデータとAPIを使った計測が今後の主流に

日本でも個人情報保護の観点からCookie規制が徐々に強化されている段階ですが、現状ではまだまだ広告の効果測定をCookieに頼っているプラットフォームも多くみられます。しかし世界では、すでに大幅なCookie制限が実施されており、日本企業であっても海外で事業を展開している場合は規制に則って広告運用する必要があります。

このような世界的な流れに伴い、今後はFacebook広告に限らずサードパーティCookieに依存しない運用方法が主流になる可能性が高くなっています。実際にその他のSNS広告でも今後、コンバージョンAPIの提供を開始すると発表されています

現時点でもCookie規制などの影響によって既にコンバージョンデータの欠損が起きています。さらに今後ますます規制の影響が強まっていくことが予想されるため、早いうちにコンバージョンAPIの導入を検討しておくことが重要です。

まとめ

Facebook広告のコンバージョンAPIとは、Cookie制限の影響を受けずに計測できる方法です。コンバージョンAPIの導入には手間とコストがかかるものの、それらを大きく上回るメリットがあります

実際にCookieの規制は強化されつつあるため、今後もFacebook広告を続けていく場合は、なるべく早い段階でコンバージョンAPIを導入することがおすすめです。また現時点でコンバージョンAPIが必要なくとも、いつでもCookie規制に対応できるよう対策しておくことが重要です。

FLINTERSでは、Facebook広告のコンバージョンAPIについてお悩み・ご相談をはじめ、SNS広告やディスプレイ広告の運用、レポーティング効率化の開発実績があります。ぜひお気軽にお問合せください。


執筆者

中川路 寛
KAN NAKAKAWAJI

セールス&マーケチーム所属。 オフショア開発事業のセールスとブログ執筆などのマーケ施策を担当。

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